PC版は2022年1月に発売されSwitch版の発売自体は昨年末。
日本発のインディゲームですが国内外で評価と売り上げ本数はうなぎ登り。
本作のヒロインにも注目が集まり東京ゲームショウ出展メーカーのサブMCを務めたり単独でイベントが行われることも。
私自身はインディータイトルは好んでプレイしない人間なのでその評価にも売り上げにも話題性にも興味は持たなかったのですがすが
大ファンでもある漫画『吸血鬼すぐ死ぬ』の作者が本作のコミカライズ(2023年3月配信開始)の原作を担当することになって俄然興味が、
ということで購入。
↑ 配信者「超てんちゃん」
↑超てんちゃんに扮するあめちゃんの普段の姿
システム
プレイヤーは配信者(わかりやすくいうとYoutuber。Vtuberではない)の「超絶最かわてんしちゃん(超てんちゃん)」に扮する「あめちゃん」の「ピ(プロデューサーや恋人という意味)」となり
コミュニケーションを取りながら超てんちゃんを最強配信者にすることが目的。
↑ 下が「あめちゃん」で上があめちゃんが配信時に扮装する「超てんちゃん」
グラフィックは旧PC風のドット絵ですが古臭くなくこのゲームには適しています。
時には画面が歪んだり壊れたりする演出にバクバクさせられます。
もしも普通の2Dイラストやリアル志向のグラフィックだったら危なすぎて発売禁止になるかも。
プレイヤーはあめちゃんと1日昼夕夜に交流しながら配信内容を決定。
あめちゃんとはツイッターとLINE(ゲーム内では別の商標で表記されています)で交流も可能。
配信中はコメントを拾って返事をする(させる)こともできます。
1ヶ月たてばそこでゲームは終了、慣れれば1時間内で1ヶ月はクリアできますがその過程やあめちゃんのステータスによって分岐しED数は20以上。
全てを見るには10時間弱はかかりインディ系恋愛AVG?としても価格に見合う丁度いいボリューム。
と、ここまではありがちな恋愛シミュレーションADVなのですが・・・・・・・・・
ストーリー
ヒロインでもあるあめちゃんがとんでもないメンヘラ。
リスカ、薬物っぽいもの、出会い系、なんでもあり。
彼女とプレイヤーとの出会いがゲーム内では一切描かれていないのですが連載が始まったばかりのコミカライズ1話を読めば把握できます。
ニーディーガールオーバードーズのコミカライズ、ランウィズマイシック 第一話公開されました!
回線の数だけあるかもしれないニディガの一世界線として、どうかお楽しみください。「NEEDY GIRL OVER DOSE RUN WITH MY SICK」第1話 https://t.co/Q5eDeT33FD #ニディガ #マンガクロス
— (アニメ吸血鬼すぐ死ぬ2配信中!)盆ノ木至(24巻発売中!) (@bonnoki) March 21, 2023
この漫画の1話も大きな伏線になっていますがプレイ前に読んでもネタバレの心配は無いでしょう。
実際私もこの1話を読んだ後からプレイを始めましたが問題なし。
ゲーム内では語られないプロローグが把握できて助かったほど。
ゲーム内には現実のインターネットで使われているスラングや描写が随所で使われています。
アニメや漫画のパロディも随所に。
それらを多用するあめちゃんにどこか親近感が(オイ)
あめちゃんには「フォロワー」「ストレス」「好感度」「やみ度」の4つのステータスがあり主にこのステータスの数値によって各EDへ分岐。
このステータスを上下させる交流にはHな行為や薬物飲用を思わせるコマンドもありますがSwitch版では少々言葉がマイルドになっているようです。
選択肢が豊富であめちゃんのリアクションも多彩、あめちゃんがWEBカメラを通して会話していることもあり彼女の存在がそこにいるように錯覚してしまうほど。
彼女のステータスによってリアクションも変わり妙に人間臭い会話をしてくるのもドキっとさせられます。
あめちゃんのメンヘラっぷりが私の知る現実から現実離れしていることも逆に現実っぽく感じさせてくれます。
本作の凄さはその没入感。
何故このドット絵グラフィックでボイスも皆無なのにこっちの精神まで病んでしまいそうなほどの凄みがあるのか・・・。
本作で特筆するべき素晴らしいBGMの数々もどこか狂気じみています。
あめちゃんが本気で病んでくるとBGMまで耳を劈くような曲調に。
個別EDを目指すためステータス調整をしながらプレイするのではなく自分の好きなようにプレイすると面白さが数倍増。
あめちゃん
あめちゃんはツイッターに表向け超てんちゃん用アカウントと自分用の裏垢を所持。
表向けでは視聴者のために外面の良いことを呟き、裏垢で視聴者に毒づいたりプレイヤーに愚痴をいってきたりします。
その2面性が怖いながらも見てはいけない一面を覗いているようで楽しい。
あめちゃんは承認欲求が高めで行動力は破天荒というか危ないというか・・・視聴者の見ていないところで薬物らしいものを摂取したりプレイヤーとHらしいことをしたり出会い系に出掛けたり。
そうさせているのはピ(プレイヤー)の選択のせいなのでもありますがその罪悪感もまた・・・。
健全な行いを続けてフォロアーを増やすプレイももちろん可能ですがあめちゃんの性格上どう進んでも危ない方面に。
自分勝手でLINEの無視が続くとゲームオーバーも。
あるステータスが突出してくるとピ(プレイヤー)とどう考えてもHな行為をしながら配信したり(配信画面では視聴者は別の健全なことをしているように見える角度で配信)と、もう○○○○。
このいき過ぎとも感じるあめちゃんの狂いっぷり、
(こんな○○○○、現実にいるわけない・・・でももしかしたら・・・)という疑心暗鬼が逆にあめちゃんの存在感と現実感を増し増しにしています。
フォロワーを増やすことが目的なのにフォロワーが増えるとアンチも増えてあめちゃんの精神は益々病むことに。
万人にはお勧めできるゲームではありませんが誹謗中傷や自己中の正義感を躊躇無くネットでかざすようになってしまった人にはプレイさせてみたい。
20以上あるEDはほとんどバットエンド、
な!の!で!す!が!
受け取りかたによってはあめちゃんにとってはハッピーエンドなのかなぁと捉えられることのできるEDもあり色々と考えさせられます。
真EDらしいEDにも驚愕。
コミカライズ1話やそれまでのプレイ展開を含めてゾゾッとさせられました。
その他
文字が小さく携帯モードでは見難いです。
できれば挙げてあるスクリーンショットの文章も読んでほしいのですがやっぱり小さい。
もともとPCでの発売、ゲーム画面のUIがPC風でマウスでのプレイ前提なためかSwitchのスティックのプレイでは少々難がありました。
約10時間のプレイでしたが強制終了が1回、スリープ後の再起動失敗が1回あり。
オートセーブがゲーム内の1日ごとに行われるので大きく巻き戻されることはありませんでした。
何故この弩級メンヘラをゲームの中の「ピ」は見捨てないのかという疑問はプレイヤー自身がプレイを進めるごとにあめちゃんを見捨てられない感情が沸いて来る事によって払拭されます。
かなり人を選ぶゲームでしょう。
精神疾患の方やネット中毒者への偏見ある描写も見受けられ問題視されてもおかしくない内容。
Youtuberにハマっている人を好意的には描いていない箇所も。
もっと言うと本作が面白いとは感じられない選ばれない側のプレイヤーの方のほうがまともな人間で社会適合者なのかもしれません。
しかし私は弩ハマリしてしまいした。
どうしよう(笑)
現実は現実として尊重しなければいけませんが、このゲームはゲームとして至極楽しめました。
これからも時々EDを気にしないプレイをすることでしょう。
そんな、こちらまであめちゃんのように精神が”キマって”きそうになるゲームです。
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