龍が如くシリーズの大人気キャラ真島吾朗が単独主役に大昇格。
私も大好きなキャラですが最近のナンバリングでは出番が少ないだけでなくかつての狂犬ぶりも薄くなり寂しさも感じていました。
それが今作で挽回できるのか・・・。
できたのか、というと・・・やや隠居気味になりカドの取れてきていた真島兄さん。
かつてのイカレっぷりは見れませんでしたが今まで見せてこなかった魅力は存分に堪能できました。
■アクション
かつて真島兄さんを操作できるシリーズ作品もありましたがアクションゲームとしての龍が如くのシステムの進化版というべき本作ではバトルはスピーディに爽快になっています。
ドス片手に闘う「狂犬スタイル」と海賊の武器を使って闘う「パイレーツスタイル」の2種はバトル中いつでも変更可能。
狂犬スタイルこそ真島兄さんらしいバトルができるのですが派手さ、操作していての面白さはパイレーツスタイルのほうが上。
龍が如くシリーズに慣れ親しんできたファンは剣・刀がメインのバトルに違和感を感じるかも。
桐生らも剣や刀を使って闘うこともありましたがオマケ程度でした。
剣メインということで龍が如くバトルの殴られる痛みや重みを感じるような肉弾バトルの重厚感は薄れましたがその分バッサリ切り倒す爽快感は増しています。
別のゲームのキャラかと思うほどにスタイリッシュにスピーディーに闘えるバトルはかなり気持ちがいいです。
操作方法はほぼ龍が如くシリーズのシステムと一緒。
アクションに全振りしていて爽快感の高い本作のバトルですが操作方法がほぼ旧態依然のままなのはもったいない。
回避はワンボタンでできたほうがよかったし過去作同様いつでも回復ができるのはありがたいけど緊張感にかけます。
ジャンプができるようになったとはいえアクション要素でいうとオマケ程度。
いつでも回復できない宝探し要素もあるのですがココはアクションゲームとしてヒリつく緊張感がありました。
どこでも回復できるようにするのは名越さんの仰られていた「誰でもクリアできるようにする」理念が今でも龍が如くスタジオに息づいているのかな。
もちろんナンバリングでは今までのように回復しやすく誰にでもクリアできる龍が如くであってほしい。
ただ本作は外伝。
もう少しアクションゲームとして龍が如くやジャッジシリーズとはテイストを変える冒険をしてほしかった。
本作のバトルの特徴として人数が多いところ。
ボスバトルは基本1vs1ですが路上でのバトルでも2、3vs多人数は普通でイベントバトルや船上バトルでは合わせて50人以上が入り乱れるバトルも。
PS5では処理落ちすることもなく無双ライクに多人数の敵をなぎ倒す爽快感もあります。
見た目も個性も違うキャラのこれだけの多人数バトルはちょっと凄い技術力なのでは。
■シナリオ・寄り道
今回は任侠や日本の極道とは離れたハワイでの宝探しや裏社会との争い。
真島兄さんは記憶を失ったとはいえ本質は変わらない天衣無縫唯我独尊な言動。
ちょっと頭の打ち所が悪かったのかな?と思うほど良い人ムーブが多め。
真島兄さんが良いことをしようとしているのではなく、通す我侭が廻り回って良いことをしている流れになっているというか。
でもそれは嫌な気持ちにはなりませんでした。
選択肢はないのですが私ならこうする、と感じたとおりに真島兄さんも動いてくれるので。
本作も過去作同様サブストーリー、プレイスポットは盛りだくさん。
過去作と比べてメインストーリーが「先が早くみたい!」と感じるほどの牽引力があまりなかったので今まで以上に寄り道を楽しみました。
様々な寄り道要素があるのはいいのですが蝶採取のように妙に手間がかかるものやいつもの悪ノリでふざけたサブストーリーのなかには真島兄さんに「悪趣味すぎない?」といったものがいくつか。
探索は龍が如く8とほぼ同じなのですが各々のお店で何が売っているのか全てをマップ上で確認できないのは相変わらず。
メインストーリーのボリュームはナンバリンぐと比較すると若干少なめ。
ソフトの価格がお安めなのはそのことが影響しているのかもしれませんが価格以上に楽しめ密度も濃すぎるくらい。
龍が如く7外伝も同じくお安めでしたが寄り道は7外伝以上かも。
終盤までは「メインストーリーは良くも悪くもない程度かな」と感じていました。
ですが、とあるタイミングで真島兄さんがなぜハワイにいく気になったのか真の理由がわかります。
それが明かされた時は涙が止まりませんでした。
それだけで本作のストーリーは満点中の満点です。
やはり真島兄さんは龍が如くの主役の1人。
外伝だからプレイしなくていい、もうすぐモンハンワイルズだし。と考えている龍が如くファンがいるなら考えを改め今すぐプレイしてほしい!!!
頑張ればモンハンワイルズまでクリアは可能でしょうし。
■海戦
なんと海賊船を操作して帆船同士のバトルができるように。
昨年TGSあたりではまだ出来に不安があったそうですがきちんとストレスなく遊べるようになっています。
龍が如くスタジオの開発スピードには驚愕するばかり。
ドリフトもできればバックもできる、ゲームゲームした操作性ですがその分ストレスは感じません。
自分の船に隠れて敵が見辛いときもあるのですがそれも海戦のゲーム性の1つでしょう。
海賊船は見た目を変えることもできるのですが本作のムービーのほとんどはリアルタイムなので海賊船もカスタマイズされた姿で登場するのも嬉しい。
海戦バトルで敵の船のHPを削ると船上でのバトルに。
見た目おかしいキャラを編成していると船上バトルもカオスなことに。
発売前は船のHPを削る→船上バトル、は時間がかかってテンポ悪くならない?と不安視していましたが海賊船の操作性の良さ、船上バトルで味方もゴリゴリ敵を倒してくれるのでゲームのテンポを悪くすることはありませんでした。
■ファーストサマーウイカ・ロバート秋山
ノアを演じるファーストサマーウイカさんの演技が素晴らしすぎる。
本作のPVが初出の時から皆に驚かれていましたが最後まで声優が子役を演じるときのあざとさや声優に不慣れな俳優が演じるときのつたなさが最後の最後まで全くありませんでした。
料理人でもあり用心棒でもあるマサル・フジタを演じるのはロバート秋山さん。
出落ちキャラではなくしっかりメインストーリーに絡んでくる重要人物。
見た目のインパクトといいなかなかの良キャラなのですが・・・マサルがメインのサブストーリーの悪ノリが過ぎる。
ミナト区女子らを宴会を開く実写ムービーもあるサブストーリーは本作にあまり興味がない人でも見たことがあるかも。
メインストーリークリアに必須ではなく(たぶん)えなこさんら実在する人物の仲を真島兄さんがとりもち実写宴会を始めるのは少々時間がかかります。
そして見せられるのはミナト区系女子ではなく秋山さんの個性が際立つ実写ムービー。
・・・キッツ!
実写がキツいのではなくそのムービーの内容がキツイ。
台本どおりなのか秋山さんのアドリブもあるのか・・・。
過去作のキャバクラのようなゲーム要素はありません。
ムービーを見るだけ。
オーディションを開き、かなりボリュームのある実写ムービーを撮る手間と予算を他の要素に割いてほしかった・・・。
のですがこのミナト区女子、海賊としてバトルにも参加させられます。
妙な武器を手に闘ってくれる様は華もありオーディションをやった甲斐はあったのでしょう。
■ほか
真島兄さんが主役、外伝、ハワイが舞台という事で製作陣は過去作に縛られることなく面白いゲームをつくろうとした気概がゲームの節々からヒシヒシと伝わってきます。
そしてそのどれもがきちんと楽しめる出来に。
ここまでのボリュームと内容を短いスパンで発売してくる龍が如くスタジオには驚くしかないです。
「真島兄さんはそんなこと言わない」と感じたことは無かったわけではありませんがそれも真島兄さんの新たな一面が見れたという喜び。
スタッフロールでは開発陣のサービス精神が爆発。
悪ノリもここまでくると楽しむしかない。完敗です。
ナンバリングでは、現実ではありえないことをするとファンに怒られがちな龍が如くシリーズですがその柵から解放された本作は過去作には無かったエンターテインメントを楽しめます。
なによりも発売日一週間前倒しはゲーム史上に残る超ファインプレーでしょう。
ゲームソフトの発売日前倒しは本作が初めてではありませんがプレイヤー層、同プラットフォーム、そしてどちらも買い控えするのはもったいないタイトルだということも含めて。