ゲームタイトルに書いてあるとおり都市伝説を主軸に置いた推理ミステリーAVG。
都市伝説と事件が絡み合い意表を突かれる展開の連続に能動的な謎解きプレイも必要。
「流行り神」「パノラマサイト」のような日常と非日常の一線が揺さぶられる心理的に”くる”物語や推理が楽しめます。
■シナリオ
ネタバレにならない範囲で感想を。
物語は全○話でそのつど異なる事件・都市伝説に遭遇。
しかしゲームを進めるにつれその話が繋がっていく流れ。
各話の一転二転する展開や現実社会から隔離しないホラーテイストが絶妙です。
冒頭から「都市伝説モノというよりファンタジーじゃん。超常現象ありきなのかよ、タイトルに騙されたかな」と思うこともありましたがそれも後々・・・
シナリオの妙にしてやられた!
登場人物は廻屋(都市伝説解体センター長)、あざみ(強引にセンター調査員をやらされる)、ジャスミン(あざみのサポート係)
プレイヤーは廻屋ではなくあざみを操作することでゲームを進行していきます。
大雑把にいうと脳噛探偵ネウロで例えるならネウロ=廻屋、あざみ=弥子、ジャスミン=吾代。
もしも本作の紹介記事をチラ見して「廻屋みたいな陰気臭いキャラを操作するのはちょっとなぁ」と感じられているとしたらそれは大間違い。
明るく前向きなあざみ(弥子っぽい)を操作するゲームで度々起こる陰惨とした事件や出来事といいバランスが取れています。
■推理・謎解き
推理・謎解きには調査や推理が複数のシステムに分かれています。
・SNS調査
事件の情報収集にSNS(というかX(旧ツイッター))を使います。
気になる情報、あざみだけが見える核心に近い情報を収集
・探索
事件現場や周辺を調べたり人物に聞き取り調査
このどちらもフラグをすべて見つけることが目的ですが選べる対象物を総当りで調べてやっと見つけられる具合になっています。
よっぽど推理力があるか、それとも勘が良ければフラグだけを選んで短時間で解決することもできるのでしょうが。
ただし総当りと言っても調べなければいけない箇所や人物はそこまで多くないので総当りも苦痛ではないです。
・解体
集めた情報から都市伝説を特定する特定パート、都市伝説の真実を暴く解体パートでいよいよ真実、真犯人をつきとめていきます。
いくつかの選択肢の中から選んでいくのですが”てにをは”といった助詞がヒントになっているのは面白い。
間違いの選択肢はしっかり指摘され、間違いが続くと選択肢が減っていったりと調査、推理ともに詰まることはなく進みました。
その上できちんとゲーム進行のために思考や推理も求められるのでAVGとして遊びがいは満足いく密度になっています。
■グラフィック
本作ではピクセルアート(ドット絵)で描かれています。
ただ描かれているだけでなくアクションや息遣いでは少々ギコちないですが動きます。
基本ホラーゲームなのでストーリー部分の怖さはもちろん凄惨で残酷な描写もあるのですがそこもピクセルアート。
流行り神やパノラマサイトのようなグラフィックならば怖さはかなり増していたと思うのですが・・・。
ボイスも無いですしインディゲームの予算の都合もあるのかな。
過度なホラー描写が苦手な人のため、ホラー推理ゲームをより多くの人に楽しんでもらいたいためにピクセルアートを選んだのかなぁ。
その目論見の通りならピクセルアートにして正解でしょう。
いまの時代このグラフィックは逆に新鮮にも見えます。
あえてスクリーンショットは挙げていませんがピクセルアートとはいえキツメのイベントスチールもあります。
■SNS調査
調査パートでX(旧ツイッター)のようなSNSをみて情報を集めるわけですがそこに書き込まれている内容が現実的でドキッとさせられます。
昨今問題になっているネットリンチ、誹謗中傷、捏造が平然と横行。
現実となんら変わりのない状況です。
それも事件のきっかけとなる展開は本作で制作者が伝えたかったであろうSNSの危うさ、それがしっかりと伝わってきます。
【Switch】
PCやPS5でも発売されていますが今回はSwitchを選択。
理由は・・・なんとなく(笑)
これが大正解。
テキストを読み進めるには普通のAVG同様決定ボタンを押すわけですがコントローラー(携帯モード)+物理ボタンだとだんだん疲れてきます。
ジョイコンを離して使うか携帯モードにして置いてのタッチ操作で楽にプレイできます。
PS5といいSwitch2といい前ハードよりコントローラーを大きくする意味がまったくわからない。
ピクセルアートのため”怖さ”はやや薄めになっていますが据え置きモードで廻屋からかかってくる電話に着信音だけ大きめでその都度驚きます。
自分の携帯の着信かと間違えるほどに(笑)
■その他
価格はDL版が1980円、今ならさらに割り引きとお安いです。
それでもボリュームはかなりのもの。
”遊び”も含めて内容が薄いと感じることはありません。
変なプレイ時間稼ぎ要素はなく、純粋にクリアーに10時間以上かかりました。
謎解き・推理は総当りが近道な感じは若干ありますがそこにも親切設計がなされていてストレスは少なめ。
なにより謎めいて意外性ある展開が続きAVGに重要なストーリーの面白さや魅力はメジャータイトルにも負けていないインディータイトルです。
パラノマです
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