ジャンルはホラーアクションアドベンチャー。
公式がいうにはサイコロジカルホラー。
バイオハザードや零の類ですが公式の仰るとおり、かなりの”精神にくる”ホラー寄り。
その2作品に比べて爽快感は薄めでできるアクションが少なく不親切な箇所も多めです。
ハッキリいうと瞬発的に「面白い!」「たっのしい~!」とテンション獏上がりするゲームではありません。
じゃあダメダメなゲームなのかというと全く違います。
色々な箇所を犠牲にしたおかげでホラーゲームとしての怖さはとんでもなく跳ね上がっています。
不自由なプレイを楽しむ、そこが面白いといえばいいのでしょうか。
ゲーム内のキャラクターのピンチが擬似的な恐怖心としてプレイヤーに楽しいとまで感じさせてくれます。
絶叫マシンやお化け屋敷のように。
恐怖心からくる心地よいストレスとゲームシステムやアクションの不親切さからくるストレスのバランスがかなり良いのです。
【アクション】
本作はあくまでリメイク。
ゴテゴテに追加要素を加えたリメイクではなくオリジナルを尊重したため派手さやスタイリッシュさはありません。
視点の変更や回避アクションが追加されましたが主人公はただの一般市民。
兵士のような訓練もしていなければ武術も嗜んでいないので敵に対してのアクションは地味に棒で殴る、地味に銃で撃つ、地味にちょっと避ける、くらい。
これでいいんですサイレントヒルは。
リメイクに際してスニーキングや武器改造など変な能力を付け加えられたらどうしようかと不安視ししていましたがその心配は杞憂に終わりました。
今回追加されたアクション「回避」は今作のアクションの肝で要。
ホラーアクションの前評判では「銃弾が少ない」「回復薬が少ない」といわれますが本作はガチで少ない!
敵の攻撃も容赦なくこちらの連続攻撃にひるむことなく反撃してくることも。
そこで「回避」が重要になってくるのですが無敵時間が長いのか当たり判定がプレイヤー側に有利になっているのか連打しているだけで避けまくってくれます。
探索中の操作性には難があり調べたい箇所が調べにくい(近すぎても遠すぎても調べたいターゲットに反応してくれない)
上下左右にアイテムが転がっているので視点がフラフラしがちで人によっては酔いやすいかも。
この手の視点に私は酔いやすいのですが本作ではあまり酔いませんでした。
何故だろう。暗い場所が多く画面外側が暗く表示されているから?
【ビジュアル・BGM】
サイレントヒルという舞台を現代機ハードに合わせてリメイクしおどろおどろしい雰囲気は最高。
独特のクリーチャーデザインは美麗になりグロさを超えた禍々しさは見惚れてしまうほどです。
最新ゲームと比べてしまうと質感や陰影、キャラクターの造詣(頭でっかち?)は見劣りしてしまうところも。
血まみれ泥だらけになる主人公ですが一定時間たつと衣服が綺麗に戻るのですが汚れたままのほうがよかったような。
アイテムやなにかが近くにある時はそっちを向くのが特徴的でしたが肩越し視点になって逆にわかりにくくなりました。
BGMはほとんど無しで環境音がメイン。
そのぶん要所要所で流れるBGMやピンチ時に流れるBGMがかなり効果的に迫ってきます。
ラジオの雑音で敵の有無を知る独特のシステムにマッチしています。
【ストーリー・ゲーム進行】
感情移入できるタイプの主人公ではないのになぜかプレイ中は彼になりきって没頭できます。
助けたくもないガキや落ちたくもない穴に身を任せる主人公の行動に「なにやってんの、帰ろう帰ろう」と呆れることも(笑)
現実か虚構かも定かではない舞台を差迷う主人公以上にプレイヤーが不安になってくるほど異常な世界観。
私自身、ゲームを進めながら先が見たいからゲームをするのか、ここに居たくないからゲームを進めるのか混乱してくるほど。
ストーリーや街・ダンジョンは良い意味で「いつ終わらせてくれるんだ!?」と思わせるほどのボリュームがあり、その点でもプレイヤーの精神を削ってきます。
フィールドや建物内の構造はかなり複雑。
どうしてもマップを見てはちょっと進みマップを見てはちょっと進み・・・の繰り返しはややテンポを悪くしています。
かなり迷いやすい構造のはずなのに進むべき行き先をさりげなく示してくれる導きかたが素晴らしいの一言。
マップにちょこんとヒントがでたり、行くべきところor行っても何もないところはそれらしい雰囲気を醸し出していたりとヒントにゲームゲームした不自然さが少なめです。
面倒なので2周目からは完成したマップの画像をプリントしてそれを見ながらプレイしていました。
やっていることがゲーム内の主人公と一緒(笑)
ゲーム内の細々したヒントを頼りに手探りで進む昔ながらのシステム。
ここを今風に目的地をハッキリ表示したりせず謎解きを簡略化しない形でのリメイクもリメイクの1つの形。
今作はそのやりかたがピッタリとハマっています。
謎解きはゲーム内に散らばるメモなどの文章を読み解いてのパズル、暗証番号当てが多め。
鍵の暗証番号や扉を開けるための鍵を探すため怖すぎる病院やホテル内の探索・・・。
ちっちゃい鍵や仕掛けとか持ってる銃やチェーンソーで壊せばいいじゃん!と心の中でツッコむことが多々ありますがあくまでゲームなのでそれは野暮。
敵の種類が少なく攻撃は単調。
でも怖いんです!
入手できる銃弾やお薬の数が極めて少なく敵1体1体が怖いのです。
ゲームに慣れてくると銃弾やお薬もちょっとは余ってくるのでバランス調整もよくできているのではないかと。
メインストーリーのマルチEDとおまけEDはすべてクリアしたつもりですが謎のアイテムが残ってたりとまだ達していないEDがあるのかな。
2周目冒頭で入手できるチェンソーがとんでもないバランスブレイカー。
近接武器なので敵に近づくリスクはあるのですが雑魚なら一撃、ボスでも通常武器よりかなり短時間で倒せるのほどの威力があるにもかかわらず入手難度は低め。
1回本編をクリアすればいいだけ。
2周目が1周目とはうってかわって大味になってしまったのでチェンソーの入手難度を高めにしてその間に他の武器を使えるようにしたほうがよかったのでは。
捉えかたによってはあんまり面白いゲームではなさそうな感想になってしまったかも。
だとしたら本作に対して申し訳ない気持ちでいっぱいです。
多々あるイマイチな箇所をホラーゲームとして優れている箇所がマイナスの部分を大きく補填し総合するとプラスマイナスで大きくプラスに傾いていることはおわかりいただきたい!