バンダイナムコのキャラクターゲームには何度も裏切られてきましたが面白く読んでいるマンガ、みているアニメのゲーム化は触れてみたいというもの。
ただし本作を購入した理由はそのパターンとは逆。
サンドランドというマンガは面白かったけどゲーム化が発表されても遊びたいとは思っておらず購入意欲は低めでした。
それが昨年の東京ゲームショウで試遊台が待ち時間が少なかったのでプレイしてみたところ手触りの良さに感心。
少々不安定に感じた操作性も体験版では解消されていて購入に踏み切りました。
バンダイナムコのキャラクター版権ゲームをキャラクターに興味が薄くてもゲームの面白さを求めて購入するのはいつ以来のことか。
【ジャンル】
試遊や体験版だけでは大きく勘違いされてそう。
広大な砂漠を戦車や乗り物で疾走し邪魔者を蹂躙するシューティング要素濃い目なアクション、なだけではなく
砂漠だけでなく高低差のある緑地や山岳、ダンジョンを自身の足や乗り物で冒険(アドベンチャー)の旅をするアクションやRPG要素も濃く含まれています。
【アクション】
主なアクションは乗り物に乗ってのサードパーソンシューティングライクなメカアクション、主人公ベルゼブブを操作しての格闘アクションの2つ。
後者の格闘アクションはかなりオーソドックスでかなり簡素な造り。
格闘アクション、メカアクションともに複雑な操作は必要なく老若男女の幅広いファン層をもつ鳥山明ファンの誰もが楽しめるよう造ったのかな?
その試みは上手くバランス調整されています。
常に操作方法も表示されユーザーフレンドリーにかなり気を使っています。
ですがアクションゲームに慣れたゲーマーからするとメカアクションにかなり重点を置いた作品とはいえ格闘アクションのほうはかなり物足りないです。
反面メカアクションからはかなりのこだわりを感じられます。
メインとなる戦車は戦車という構造を活かし車体が前後左右どちらを向いていても射撃を画面正面に捉えることができて心地よいTPSになっています。
他には高所にジャンプするためのジャンプメカ、高速移動向けのバイク、戦車より火力は劣るが機動性の高いバギー、格闘に強いロボットなどの乗り物が実装。
それぞれの性能は一長一短、だったらよかったのですが結局戦車がダントツにバトルに向いていて戦車以外の乗り物は戦闘であまり使うことはありませんでした。
バイクのスピード感、ロボット同士のガチンコバトルとかかなり気持ち良く「○○にしか乗れない」というバトルシーンがほとんどありません。
どんな敵でも好きな乗り物に乗って好きに戦えます。
でもやっぱり戦車がダントツで使いやすいような。
謎解きシーンでは乗り物の乗換えが必要なことも。
その乗り換えはショートカットキーや演出スキップがあり極力乗り換えのストレスを減らしているのですがやっぱり面倒。
ダンジョン攻略のテンポを悪くしてしまっています。
【ボス戦】
ほとんどの中ボスは乗り物に乗ってのバトルに。
その気になれば乗り物から降りて戦うことも、とはいえ何かに乗っているのが一番安全。
高速な攻撃やミサイルをブーストや機銃で捌くことも必要だったりとボス戦は水平移動しながら撃っているだけでは攻略できません。
しかし戦車の最高速度を上げるよう改造してボスの周りをグルグル廻るのが最大の攻略方法になることも。
サードパーソンアクションではなくサードパーソンシューティングなので固い敵は周りをグルグル廻りながら撃つだけ、になりがちなのは仕方がないか。
【ストーリー】
※以下ネタバレあり
中盤くらいまではコミック版(劇場版)のシナリオをそのままに新作アニメの要素も含んだアレンジを加えた形で進み
それ以降は新作アニメ版のキャラクターと世界観を使った新作アニメとは多少異なる展開へ。
王道の勧善懲悪アドベンチャーなシナリオでキチンと楽しませてくれます。
わかりやすくキャラクター相関図の変化で盛り上げる鳥山明さんらしさに胸が熱くなることも。
当然かもしれませんがゲーム全体に鳥山明さんらしさも。
敵兵は倒しても轢いても死なないし(HP0になると逃げるという設定)ヴィランもどこかユーモラス。
原作ではベルゼブブ以上にラオがよかったのでもうちょっとラオの描写も見たかった。
ベルゼブブが良い子すぎる気も。
【フィールド】
広大な砂漠だけでなくフォレストランドパートでは美麗で高低差のある森林や山岳も冒険できます。
砂漠パートの砂漠は広大に作られてはいますがオープンフィールドとしての遊びや面白みは少なめ。
オープンフィールドならではの○○を発見する楽しみ、がアイテムが落ちている洞窟くらいしかない。
広大ではあるけど高低差で自由に行き来のできないフォレストランドも同様。
点在する敵を乗り物のスピードを落さないまま倒しながら疾走していくのは楽しいのでそれ自体が本作のオープンフィールドの面白さともいえるのですが。
本作はメカの造り込みが細かく美しくみんなで移動するときは同乗したり分乗したりとちゃんと一緒に冒険している感をビジュアルで強く感じさせてくれるのもいい。
オープンフィールドゲーとして退屈だとは決して感じませんが他の同ジャンルゲームより未開のマップを開拓していく楽しさが薄く感じるのは何故だろう。
フィールド移動中は仲間達が頻繁に会話をしてくれるのですがそのパターンが少なく同じ会話が何度も。
ストーリーに関わる話もしてくれるのですが話終わる前に目的地につくとそこで会話が途切れるのはもったいない。
そこをカットシーンで長々と見せられるのもテンポが悪くなるのでまぁいいか。
フィールドとは別に広めのダンジョンもいくつかあるのですがダンジョンの中でも乗り物乗れるのはちょっとビックリ。
狭い通路はほとんどなくたまにある人くらいしか通れない箇所以外は戦車はロボットでガシガシ踏破できます。
前述したメカを乗り換えながらの謎解きや転落ダメージがありダンジョン自体が広くて長めなので少々テンポが悪いです。
【グラフィック】
鳥山明さんの描くビジュアルそのままのキャラクターたちの造形が素晴らしすぎる。
メカも同様でビジュアルだけでなく挙動までもどこかコミカル、それでも重量感を感じさせる出来栄え。
【BGM】
戦闘曲?がどことなくマッドマックス怒りのデスロードのBloodBag(たくさんのドラムと叩く人とスピーカーとギターの人が出てくるときに流れる曲)に似ていてそのそのシーンを思い出して乗り物に乗ってのバトルはめっちゃ盛り上がります(笑)
本作の砂漠にはヒャッハーな世紀末な人達が点在していて討伐も可能。
【PS5】
乗り物とくればデュアルセンスの振動とトリガーの出番!のはずが活用されていませんでした。
振動は頑張ってほしかった。
コアなTPS、ACGのプレイヤーには物足りなさを感じるであろうトコは多々ありましたが気持ちを緩めて遊べる良質なRPGです。
操作は簡単、ほどよい難易度、わかりやすいストーリー、親しみやすいキャラクターたち、
と、「安心」に包まれたゲーム。
物語りはサンドランド原作+新作アニメですが初めてサンドランドを読んだときのようなえも言われぬ充足感が。
漫画サンドランドは鳥山明さんがアシスタント無しの1人で描き上げたそうですが本作を鳥山明さんが1人で作った、と言っても信じる人は信じるんじゃないかな(笑)
ブラックフライデーの候補に入れようかな