
綺麗、美麗、ド派手、大迫力、壮大、滑らか、静止画だけでなく動的描写も含めゲームのビジュアルを誉める語彙は様々ですがいくつ並べても本作のビジュアルを誉めるには足りないでしょう。
しかしビジュアルの良さがゲームの面白さに繋がるかというと100%そうとは言い切れないところ。
なによりどんなに素晴らしいビジュアルのゲームでも数時間もプレイすれば慣れてしまいそれが普通に感じるようになるのは何年もかけてビジュアルに関わってきたスタッフには申し訳なく思います。
探索アクション
スパイダーマンゲーム唯一無比の移動手段でもあり探索のための蜘蛛の糸を使ったスイングの気持ちよさは前作以上。
今作からはウェブウイングという技名でムササビのような滑空が可能になり気流に乗れば空を飛んでいるかのように高速で移動が可能。
映画でもアニメでも使われている技ですがここまで便利に飛行するのはちょっと違和感。
その違和感に目を瞑ればウェブウイングも爽快で広大なフィールドを更に開放的に感じさせてくれる要素。
慣れてくるとスイングやウェブウイングは直感的に操作できるようになりますが急上昇、急加速といったボタンの組み合わせが必要なアクションは直感的な操作とまではいきません。
何かと話題の超高速ファストトラベル。
これが開放されるのは地域ごとにサブイベントをこなす必要があり、こなした地域のみ開放されます。
メインストーリーだけ追うプレイでは1地域もファストトラベルが開放されないかも?
この仕様は「一度行った所ならファストトラベルが可能」なゲームに比べ手間が掛かりますが本作に限ってはこれで正解だと思います。
こんなに移動が楽しいフィールドをそう簡単にファストトラベルで飛び回れるようにするのはもったいないでしょ(笑)
街にはオープンフィールドらしい様々な収集やミニバトルが多数点在。
育成やガジェット強化要素が豊富でついつい寄り道してしまいます。
戦闘アクション
今回は2人のスパイダーマンを状況によって入れ替わりながらプレイするのですが2人の操作方法や感覚はほぼ同じ。
バトルの難易度は少々高めですが重要な通常攻撃、回避、パリィに差はないので戸惑うことはありませんでした。
これは探索時でも同様。
2人の個性の差は主にスキルや特殊攻撃アクションで変わってきます。
その点やボタン組み合わせで発動するスキルが多いので直感的な操作がちょっぴりやりにくいのは前作と同じ。
育成で使える技や特殊攻撃は増えるのですがそれらをすべてを覚え、使い分けられるくらいにまで慣れることはクリアーまで出来ませんでした。
ただし探索アクションも含めちょっと操作を間違えようがスパイダーマンは滑らかでカッコいい動きで縦横無尽に戦ってくれるのでストレスはありません。
パリィによるカウンターは直感的な操作ができるので爽快感も高め。
たまにこちらの 移動中に建物にひっかかったりバトル中に避けたはずが避けていなかったりするのですがその戸惑いをアクションの気持ちよさが遥かに上回ります。
ビジュアル
最初にいろいろ書きましたが何もいうことはありません。
脱帽。
脱帽です。
ビジュアルがゲームの面白さに繋がるのかといわれれば本作のビジュアルは何時如何なる時でも目と脳を楽しませてくれます。
プレイしなれてくるとこの素晴らしいビジュアルにも驚きは少なくなってくるのですが終盤街が様変わりするのには驚かされます。
最初の巨大○○戦や中盤の河川のチェイスなどには演出にも驚かされますがラスボス戦を含む後半はこれらを超える凝ったバトルシーンが無かったのは残念。
2人主人公
プレイヤーが2人のどちらかを選んでメインストーリーを進行するのではなく1本のメインストーリーの一筋に2人の物語がありその都度強制的に切り替わる方式でマルチシナリオではありません。
探索時などはプレイヤーの意思でキャラを変更することも可能です。
数回ですがピーターでプレイ中に別の場所にいるマイルズに切り替えプレイしているとメインストーリーに突入し別の場所で他の事をしていたはずのピーターがすぐ横に居る(その逆のパターンも)、といった感じの軽い矛盾が起こりました。
メインストーリーでは2人の物語りは悩めるヒーローをかなりシリアスに描いています。
それを2人で協力、対立もしながらも進む物語は主人公2人制で大正解。
2人どちらにも感情移入してしまいます。
ストーリー
ネタバレになってしまうので詳しくは書けないのですが
「よくマーベルが許したなぁ」と感銘する展開が随所に。
ファミ通インタビューで語られていますが開発陣とマーベルの築き上げた信頼関係やサポートがあってのことでしょう。
実写映画の印象も強いヴェノムやこれから公開予定のクレイブン、他のヴィランやヒーローの描写はゲームオリジナルとしての独自性を強く持っています。
何度か過去を振り返るパートがあるのですが私はこのパートは退屈でした。
派手なアクションもなくそれほど深堀りするわけでもなく「なにをやらされているんだ?(笑)」な感じ。
版権モノのゲーム化はたとえスピンオフであっても「○○は死ぬわけない」「○○は敵」という
思い込みどおりに展開してその通りに終わることがほとんどですが本作は意外性の連続で遂には「死ぬか!死ぬか○○!?」とハラハラしてしまうほどに。
意外なヴィラン達の登場、その活躍や顛末にも驚かされました。
カットシーンとゲームプレイの境目がなくテンポよく進むのでカットシーンもゲームプレイの一部として感じるほどです。
多様性を意識させられる道義的側面
ファミ通クロスレビューに書かれていた文章でそこに「堅苦しさを感じる」とのことでした。
いままでのゲームではほとんど触れられなかったシチュエーションが描かれるシーンは少々ありましたが
改悪やねじ込みが成されていたわけではないので悪い印象は無かったです。
これを本作のネガティブな部分に捉える事があるのならその事こそ問題視するべき。
PS5
ファストトラベルの速さは言い尽くされてそうですがそれでもこの速さは凄すぎる。
どんなにロードが早いオープンフィールドのゲームでもゲーム開始時は長めのロードがあったりしますが本作は起動時までも速い。
アダプティブトリガーとハプティックフィードバックが大袈裟すぎず適度に効果的に使われています。
私はその2つにはもう飽きているのですがなぜかゲーム側の設定ではアダプティブトリガーはオンに固定でオフにできない(汗)
強制終了はありませんでしたがフリーズは1回、
オブジェクトにハマって抜けれなくなる&起こるべき事象が起こらなくて詰まる(敵を全滅させると出現するはずの出口が出ない)が2回づつありました。
ゲームを再起動したら短時間巻き戻されただけでその後は問題なく進行。
ゲーム全体としては前作から大きく変わってはいませんが追加された要素、2人主人公や独自のストーリーなどグレードは大幅にアップ。
難点は人物のモデリングがド洋ゲーな点とスパイダーマンに興味がない、知らない人がプレイすると疑問に感じることは多々ありそうなくらい?
スパイダーマンサイドの不殺へのこだわりにモヤモヤすることも。
なぜスパイダーマンが親愛なる隣人と呼ばれるのか、
1作目、前作マイルズ・モラレスを通してプレイするとその辺もしっかり描かれているのでスパイダーマン入門としても適しています。
洋ゲーに対して、モデリングがド洋ゲーな点を本作のネガティブな部分に捉える事があるのなら、その事こそ問題視するべき。
海外の人に失礼だよね。
ほんとそれ
まあポリコレがね…