かつてのPSを代表するタイトルの1つでもあった「ぼくのなつやすみ」シリーズ。
それを手掛けたミレニアムキッチン綾部和氏の最新作。
「ぼくのなつやすみ」はシリーズを重ね様々な要素が加わっていきましたが本作のその1作目から異なったアプローチに進化。
システムや遊びにかんしては3,4と比較すればシンプルで少なめですが主人公のアクションの強化が特に際立っています。
物語は主人公とその家族がよもぎ村にサーカス団の公演として訪れその公演が行われる8月の1ヶ月間よもぎ村に滞在することに。
近隣やとなり村との住民との交流、周辺の自然を遊び場として冒険することに。
よくある?スローライフゲームのようですが本作のもっとも特徴的な点は主人公のアクション。
本作の主人公は
・なんでもよじ登れる
・スタミナがある限りどこまでも登れる
・成長(課題ミッションをクリアするとステッカーが貰えスタミナが増える)するとスタミナ増加だけでなく2段ジャンプもできるように
・泳ぎではスタミナを消費しない
・どんなに高いところから落ちても平気。未来少年コナンのように足がしびれるだけ
・布をつかって空を滑空できる
ゼルダBoWのリンクじゃん!
サーカス団の子供だから、という理由でこのような技能を持っているようですが・・・。
これらの技能のおかげで探索はより楽しいものに。
序盤は高くて登れない場所も徐々に先に進めるようになります。
それが「今は無理」とゲーム的に強制制限してあるのではなく自然とプレイヤーに「また後で来てみよう」と思わせるつくりも良い。
ここまでできる主人公なのにオートラン、ダッシュ状態をロックできる機能がないのは残念すぎる。
よもぎ村や周辺はいわゆる田舎町。
田舎特有ののどかさや情景の表現はさすが綾部和氏、素晴らしいです。
田舎の良さだけだけでなく工場や建築中の倉庫など押し寄せる近代化の波やごみが漂着する海岸など侘しさもしっかりと描写。
村はさほど大きくはないのですが山々、灯台、城など探索し甲斐のあるスポットがあり1ヶ月では探索仕切れないほど。
通常のスピードで進めた場合1ヶ月では全ての収集はもちろん、全ての高所を登りきるまでのスタミナの成長、物語全てを体験するのはかなり難しいでしょう。
周回ありきの引継ぎ要素はきちんとあります。
ゲーム中まったくと言っていいほどロードがないので快適。
ファストトラベルをしても数秒くらい。
そこに住む住民やサーカス団の面々は個性的ですが奇をてらったキャラクター付けではなく
「こんな人実際にいそう」な感じをちょっと大げさに個性付けしていて誰もが魅力的。
表情や動きも良い。
NPCの動きが細かく朝ラジオ体操の後、ちゃんと自宅や職場に歩いていきます。
全てのシーンではありませんが一緒に村を探索するときなどNPCはワープするのではなくきちんと歩いて移動。
フォールアウトなど他ゲームでは珍しくはなくなったNPCの挙動ですが決してAAA作品ではない本作でそれを実演しているのは驚き。
1日は起床→自由時間→夕食→夜の自由時間→就寝、という流れ。
時間経過は3段階で調節でき目的によってプレイヤーが変更可能。
夕食前には強制帰還があり就寝はどこにいても日記を書けばその日が終われる親切仕様で時間までになにかをやり終えねばならないといった厳しさやペナルティのようなものはありません。
自由時間になにをやればいいのかはプレイヤーの自由なのですがなにをすればいいのかわからなくなってきます。
ちょうどその頃、村にやってくるラブちゃん。
彼女はその日、次の日にイツ、ドコに、ナニか、があるヒントを教えてくれるのでそれに沿って行動するだけで1日は過ぎていくようになります。
プレイヤーは虫、魚、化石の収集・さらに特別なアイテムの収集をしながらスポットを巡っていくわけですが
気になったのはプレイヤーと主人公の目的がお金稼ぎになりがちなこと。
サーカス団の反映、バスの利用、特殊アイテム購入などなにかとお金のかかるゲームになっています。
少年のなつやすみがそれでいいのか、と(笑)
金稼ぎに翻弄すれば数日で数万円くらい簡単に稼いでしまうなつやすみでいいのか、と(笑)
サーカス団反映は1周目でほぼ完結するのでそこからは高額な金策は減るのですが。
2周目は主人公の成長や図鑑や日記は引き継がれるのですが所持アイテムやお金は引き継がれれないのは苦。
基本、プレイヤーのやることは収集。
虫や魚の収集がやややりにくい。
虫取り網や狙った虫に当たりにくく魚は魚影がないと釣りにくい。
魚など水に飛び込んで手掴みで集めたほうが速い。
のどかな田舎町の物語ということもあって世間を揺るがすような事件は起こりませんが友達との出会い、
住民との触れ合いや彼らのちょっとした出来事になぜか心揺さぶられます。
○○との別れ、みんなとお別れする8月31日のイベントは泣きました。
どこにでもありそうな、様々な媒体でやりつくされたようなお話なのに節々で感情を揺さぶられます。
主人公はちょっとずつ日焼けしていくのですが、外に出掛けるたび足を見てしまいます。
かなりべた褒めしてはいますが1周目終盤くらいで収集や探索に飽きを感じてきます。
全てをやりつくしたからではなく収集物にカブリが増えてくることや提示されるミッションが減ってくるからかな。
よじ登りやジャンプも最初のインパクトこそあれ、そこまで楽しさが持続するわけではなし。
田舎暮らしにも現実に田舎や観光先で一週間も滞在すれば飽きてくる、に似たようなものを感じてきます。
フォトリアルではないグラフィックはこのゲームの雰囲気にピッタリ。
このようなグラフィックでも(失礼)かなりの数のスクリーンショットを撮りました。
決して派手なゲームではありませんが花火などのイベントや住民達、住民同士の交流が心に響き心に残るゲームになっています。
ゲーム内で語られていますが宝物というのは形あるモノだけではなく経験のその中の一つです。
ゲームを楽しんでプレイするという経験もその中の一つでしょう。
キャラが何かに似てると思ったらなつみSTEPだ、なつもん