オリジナルはPS1タイトルで2Dグラフィック。
それを3Dモデルで作り直しオリジナルの良さ、オリジナルのゲーム性を損なわない、様々な新要素追加したリメイク作は少なくありませんが本作はフルリメイク作として大部分で成功しているように感じました。
アトリエ作品としてはかなり、か・な・り・シンプル。
アトリエ作品に限らず近年発売の新作ゲームと比べても超シンプル。
約25年前に発売されたシリーズ第1作目を尊重したリメイクなので当然といえば当然なのですが不思議と物足りなさは感じませんでした。
私がアトリエシリーズファンで第1作目を純粋に楽しみたいことを念頭にプレイしたためかもしれませんが。
グラフィック
オリジナルとの大きな違いは会話パート以外のキャラが2Dから3Dモデルになったこと。
2Dでの会話パートの立ち絵やイベントイラストが変わったことも大きな違いですが雰囲気が大きく変わっていませんでした。
キャラクターの立ち絵はLive2Dのように動くことも古臭さや違和感を感じない要因になっているのかも。
オリジナルの絵師、桜瀬琥姫さんには限定版グッズに描きおろしをしていただけただけでも心底感謝するしかありません。
3Dになってもキャラクターはデフォルメ体型で可愛らしく私好みのデフォルメ。
リアルなモーション付けが難しいせいか動きのパターンは少なめ。
戦闘やイベント含めもっとSDキャラが動き回るところを見たかった。
2D、3D含めほとんどのイベントを回想モードで閲覧できるのは嬉しい。
ボイスは過去のボイスを使用しているためかおまけモードにアトリエ作品名物の声優陣の○○がないのは残念。
ただし全収録ボイスが聞けるのでは?と思うほどのおまけ要素があります。
戦闘
フィールドに点在する敵のシンボルに攻撃すると先制が可能。
SDキャラのせいでリーチが短くやりにくいけどそこも可愛い。
完全なコマンドバトルで1キャラごとに攻撃順が表示され自PTキャラのターンがきたら攻撃方法を選んで攻撃、か防御。
戦略としてはキャラクターの前衛後衛の配置で物理攻撃、魔法攻撃の与ダメ被ダメに変化が生じる、くらい。
パーティは最大3人ととにかくシンプル。
オリジナル版の戦闘に大きく味付けをしていないと思われ良くいえばわかりやすい、悪くいうとシンプルすぎる。
オリジナル版の尊重&シンプルさの犠牲ともいえるのが戦闘中に使ったアイテムは街に帰ると復活・再生しなければ、街にそういうシステムもありません。
アイテムはシンプルに使い切り。
ですが、この戦闘や後述する調合も含め「アトリエ1作目ってこうだったんです」という作り手の意図もあるのでしょう。
本作の「シンプルすぎる」という点は本作にとってマイナスだと決して思いません。
早送り機能やオートバトル機能もあり弱めの敵ならサクサク狩れます。
調合
最近のアトリエ作品とは違い採取したアイテム、調合したアイテムの性能に差はまったくありません。
調合のリストはゲームを進めたり名声が上がると図鑑を購入することで増えます。
気をつけなければいけないのは調合に失敗することがあるということ。
どのアトリエタイトルから不意な調合失敗が無くなったんだろう?
1日たつとオートセーブされるのでなかなか貴重な素材を無くしてしまうと自身でセーブしたところからやりなおすか再度その素材を準備することに。
その調合失敗でひさびさに「やってしまった!」と昔のアトリエらしい後悔を感じたことが数回。
でも懐かしくもあり心地良い後悔でした。
滅多に調合失敗にはならないので。
属性を増やすとか品質を上げるとか難しい要素はほとんど無し。
作りたいものを素材を集めて作る、アトリエシリーズならではの面白さは1作目から内包されていたことに驚きます。
アイテムの性能の差がないので調合がサクサクできるテンポの良さは最近のアトリエタイトルにはない良さかも。
妖精さんに調合をお願いするとしっかり素材を消費することにも驚き。
当たり前のことのようで複製にお金は必要でも素材を消費しない最近のシステムに慣れすぎていた(笑)
フィールド
点在するフィールドに出掛け、広くはないエリアで戦闘や採集を行います。
貴重な素材はランダムでポップしエリアチェンジを繰り替えすと復活。
少々面倒ですが貴重な素材を集めるための努力と思えば仕方がないのかな。
街からフィールドにお出かけするまでに敵が現れたり、採集中に起こるミニゲームは本作のテンポの良さとは相反したものに。
ミニゲームの出現率はかなり低いので些細なマイナスでしかないでしょう。
本編とは別のモードで遊ぶこともできそこで遊べるミニゲームとしてもっと作りこんで欲しかったくらい。
シナリオ
最近のアトリエ作品と最も大きく違うのはスケジュール管理が必要というトコ、かな?
期限システムは昔のアトリエ作品の良さでもありソコがアトリエシリーズをとっつきにくくしていた要素でもありました。
シリーズを重ねゲームシステムが複雑になってくるとより緊張感や手間が増したせいか期限システムは無くなりました。
私は期限システムがなくなって喜んだ派です。
本作には無期限モードがありそのモードで始めると期限内に条件を満たさなければその時に満たしているEDに強制突入ではなく期限を越えてさらに上のEDを目指すことが可能に。
とはいえ無期限モードでもスケジュール管理がまったく必要ではなくなったわけではなし。
キャラ個別イベントやサブイベントにはそれが起こる期間が定められたものがあります。
その期間中に外のフィールドにお出かけしているときは勿論、拠点で休息や合成をしていてもイベントで中断してくれることはなくイベント条件を満たしていても何も起こりません。
そういう点ではスケジュール管理は必要。
無期限モードでも依頼の締め切り日が短めだったり拠点に戻ったり採取するだけでも刻々と過ぎていく日付からは緊張感が迫ってきます。
とはいえレベル、名声、知識はあがりやすいのでストレスを感じるほどのキツキツなプレイをしなくても残り1年の時点で既に余裕のある状態でした。
無期限モードならうっかり見逃した期間限定イベントをその1年後にみる余裕もあります。
※個別イベントに4年後に~といった期限条件があるイベントが。
それを見逃すとその周回では見れなくなるかも?
エンディングはマルチエンディングになっていてそのエンディングには優先度があります。
いくつかのEDフラグを満たした状態でエンディングを迎えると優先度の高いED”だけ”が見れます。
優先度下位のEDは見れません。
その後のアトリエ作品ではEDが選べたり本ED+キャラ個別EDだったりしましたがここもオリジナルのままとは・・・。
周回プレイで最初から始めるときは引継ぎ要素はあるもののレベルや交友度は引き継がないのでそれを再度あげていくのは少々面倒。
交友度の差で起こるサブイベントもあるので引き継がせないようにしたのかもしれません。
この優先度EDシステムを変えなかったのはオリジナル版を尊重してのことなのでしょうが
無期限モード追加だけでなくED選択モードも欲しかった。
キャラクター個別イベントはかなりの量があります。
個別イベントが起こるフラグも詳しく説明があり親切、リメイクで多数追加されたそうなのでED全種クリアーしてもまだまだ見ていない個別イベントがあります。
最近のアトリエシリーズでの「イベントが多くて辞め時が見つからない!」といったことは少なめですがサブイベントは程よい頻度で起こります。
他
図鑑やチュートリアル、やるべきことの道案内が丁寧でゲーム自体にストレスを感じることはほとんどありませんでした。
開発者インタビューによると「オリジナル版をプレイして投げ出した人や未プレイの人に理解してもらう&ハマってもらうためにどう調整するか」という開発方針があったそうでその調整は大部分で成功しているかと。
PS5では戦闘で×ボタンで選んでからの通常攻撃が○ボタンなので何度か誤操作しました。
アトリエシリーズは新作ごとにちょっとずつ進化、ちょっと退行もしながらもそこも改善しながら進化や取捨選択をしてきたタイトル。
シリーズ作品としては当然のことのようですがアトリエシリーズは25年間の約1年に1本新作がでていたという脅威のペース。
本作も開発期間は約1年・・・ガスト恐るべし。
「もっと開発期間をかけて作りこんで欲しい」という声はよく聞きます。
それでも”5年かけてつくった1本”と”5年間1年に1本すこしづつ進化した新作を5本出す”のどちらかを良いかといわれたらアトリエシリーズに限っていえば私は後者を選びます。
1年に1本楽しませて来てくれたアトリエシリーズ、ライザ3のいう最新作になるまでの歴史の1本目のリメイクとして申し分ない出来になっています。
各要素が現在のゲームに比べるとシンプルすぎるため若干アトリエファン向けのコレクターズアイテム的な面もありますがアトリエシリーズ未プレイや複雑化してきた最近のアトリエに躊躇している人にもプレイしてみてほしい。
シンプル・イズ・ベストは本作のためにあるような言葉。
問題は「アトリエ初見だけどマリーのアトリエRemake面白かった。次はどのアトリエがお勧め?」となった場合お勧めタイトル選びが難しいところか。
ライザのアトリエ1はまだハードル高そうだしPS4/SwitchででているロロナDXかな?