「AVGはオワコン」と言われつづけ何年が経つのでしょうか。
テキストAVGに限定すると寂しい状況は続いていますがその間AVGは他ジャンルとの融合だけでなくきちんと練り上げたシナリオやグラフィックで「傑作」とよばれるタイトルがいくつも世に出ています。
その中の1つが「ダンガンロンパ」
そのクリエーター小高和剛さんや開発チームが手がけるAVG最新作が本作「レインコード」
ゲームの超大まかな流れはダンガンロンパを汲んでいることもあったりとどうしても本作とダンガンロンパを比べてしまうことが多くなってしまうのはご了承を。
最初に大事な点。
本作は1人のキャラクターにハマれるか、ウザいと感じるかどうかで大きく評価が分かれるのでは。
そのキャラクターは本作のヒロインでもありパートナーでもある「死に神ちゃん」
かなり語弊のある例えですがあのモノクマが四六時中隣りにいるような存在。
もっというなら昨年嫌いな女性タレント1位に選ばれたナントカちゃんみたいなキャラクターというか。
そのナントカちゃんが四六時中元気一杯で隣にいるような存在。(私はそこまでその人を嫌いじゃないですよ!?)
モノクマは要所要所での絶妙のウザさ・憎たらしさと大山のぶよさんの熱演でゲーム至上屈指の良キャラでしたが
死に神ちゃんは常に隣にいてあのようなノリで毎度毎度プレイヤーの行動に茶々をいれてくることでこのゲームのテンポを著しく悪くしています。
4次元の壁を越えるメタ発言が多く(自称が「オレ様ちゃん」な時点であのキャラを意識しているのでしょう)唐突なお色気やお下品な役割も担当。
本作の世界観や雰囲気をぶち壊しています。(それが狙いなのでしょうが)
死に神ちゃんの行動と存在自体が本作の雰囲気になっているともいえます。
「そこがいいじゃん!」「死に神ちゃんサイコー!」と死に神ちゃんにハマれた人には全く問題ないのでしょうが私には耐え難い存在でした。
とにかく五月蝿い。
五月蝿さに目を瞑るとして主人公や他キャラクターを絶えず小馬鹿にした口ぶり。
終盤とある事情であまりしゃべらなくなるのですがその辺りのゲーム進行のテンポが良かったので余計にそう感じます。
なぜそんな言動を行うキャラなのかはおおよその予想ができる程度の事情の判明はするのですが。
シナリオ
とくに序盤と終盤には小高氏らしい展開で驚かせてくれます。
本作の最大の謎は少々ありきたりでしたが一見本筋とは無縁のような中盤も終盤を盛り上げるために練られています。
なにげない小ネタや描写が大きな伏線になっていることも。
ダンガンロンパの○○まで本作の仕掛けに使うとは・・・完全に想定外でした。
これが本作最大のサプライズだったかな。
シナリオの感想はこれ以上はネタバレになり細かくはかけないのでここまで。
謎解き
本作の謎解きは事件の謎が具現化した「謎迷宮」にて進行。
正解のワードを選んだり、1文字ずつ選んで言葉を作ったり、ワード自体が攻撃してきてそれを避けたり正解のワードで切ったりとそれらが緩めのアクションで攻略していきます。
アクション自体は難しくないのですがどれが”正解”を推理する難易度は比較的高め。
私の推理力が足りないだけなのもあるのでしょうが「その”正解”は無理がありすぎるのでは」「こっちのが”正解”なのでは?」と不正解にされる理由がわかりにくいと感じることが多々ありました。
謎迷宮では数々の推理アクションが切り替わるたびに長めのロードが、とくに意味なく歩かされるのもテンポを悪くしています。
謎解きやアクションが難しいと感じたときは主人公の育成で緩和できるようになっていてそれらが苦手でも完全に詰まることはないかと。
探索
舞台となるカナイ区はいくつかのエリアに別れそれぞれ自由に探索ができます。
きちんと住民が生活していてサブイベントもあり点在するポイントをしらべると主人公を育成させるポイントが貰えることも。
ポイントを調べると10ポイント、サブイベントクリアで100ポイントは少々サブイベントのやる気が削がれポイント調べは面倒に感じました。
探索中だけではないのですが各所でたまにQTEを要求されることがあります。
私はQTE肯定派で見てるだけになりがちなカットシーンの緩急や派手な演出のための起点としてなんら苦とも感じていませんが
本作のQTEは「表示位置がバラバラ」「押さなければならないボタン、スティックの種類が多め」「タイミングがわかりにくい」「受付時間が短め」と
QTE否定派の意見そのままの良くないQTEになっているのは難。
間違えても直前からリスタートするので大きなストレスにはなっていません。
上記のシナリオ・探索・謎解きはその筋とおりに進むと挿入される会話、カットシーンが多くスキップや早送りができたりできなかったりと惑わされます。
謎解きメインのゲームなのでスキップや早送りをしていいゲームではなくその会話やカットシーンを見ることがかなり多くなります。
その量はカットシーン多めといわれるゲームの比ではないほど頻繁なのですがそれは謎解きAVGとして仕方がないのは理解しています。
そこでストレスになってくるのが最初に書いた”死に神ちゃん”
主人公と会話をしているキャラの間に事件とは関係ないことで絡んでくるのでひとつひとつの会話やカットシーンが冗長になっています。
最近はゲームだけでなくアニメ関連の仕事も増えた小高氏、若干アニメを観ているようなプレイ感覚になるのはその影響なのかなぁ。
あくまで個人的趣向なので「そこがいいんだよ!」「死に神ちゃんカワイイ!」といわれれば「そうですか」と答えるしかない・・・。
グラフィック
カナイ区は常に雨が降り続けている街。
ボンヤリ気味のグラフィックはその雰囲気演出かと思いきや近代的施設にはいってもボンヤリなのは残念。
キャラクターは3Dで描写されていますが表情の変化に乏しい。
しかし会話の左には2Dイラストが。
その2Dイラストが実に表情豊かで愉快。
画面左下なので見逃してしまいがちなのが実にもったいない。
もしアニメ化されてそれらの表情が前面に描かれるようになるとキャラクターの魅力は数倍増すのでは。
テンポの悪さも含みますがシナリオ進行や謎解きにとクリアーに要する時間や謎解きのバリエーションといったボリュームはかなりのもの。
そのボリュームの中でメインとなる事件は○つなのは少なめ。
特に謎迷宮にかける時間が長めな印象。
死に神ちゃん含め数多くの不満はありましたがエンディング、エピローグの満足度でだいたい大目にみれる程度のものでした。
最後の最後で上手く逸らかされたかな、といった感も(笑)
なによりAVGはまだまだ面白くなる、まだまだ進化するといった可能性を十分に感じさせてくれました。
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